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インプラント治療を検討している方の中には、「骨の量が足りないと言われた」「術後の腫れや回復期間が不安」と悩む方もいらっしゃいます。そうした課題への選択肢として注目されているのが、患者さん自身の血液から作られる再生療法「CGF再生療法」です。この記事では、CGF再生療法とは何かという基本から、PRPなど他の血液由来再生療法との違い、インプラント治療における活用シーン、治療の流れ、メリットと注意点、費用相場、そしてインプラント治療に特化したよくある質問まで、検討中の方が知っておきたい情報を順を追って解説します。
CGF再生療法は、患者さん自身の血液から作られるフィブリンゲルを活用し、骨や軟組織の再生を促す治療法です。インプラント治療や歯周病治療の補助として歯科領域で広く使われており、自然治癒力を引き出す再生医療として近年注目を集めています。
まずは基本的な仕組みと、歯科で再生医療が広がってきた背景を整理します。
CGFはConcentrated Growth Factorsの略で、日本語では「濃縮成長因子」と訳されます。完全自己血液由来フィブリンゲルとも呼ばれ、患者さんの血液を専用の遠心分離機にかけることで採取できる、ゲル状の物質です。
このゲルにはフィブリンと呼ばれる繊維状のたんぱく質を骨格として、傷の治癒や組織の再生に重要な役割を果たす血小板や白血球、複数の成長因子が高い濃度で含まれています。インプラント治療では、骨が足りない部分にこのフィブリンゲルを充填したり、手術部位を覆う膜のように使ったりすることで、含有される成長因子や血小板が骨の再生と創傷治癒を促す働きを担うとされています。
再生医療は近年医療分野全体で大きな注目を集めており、歯科でも応用が進んでいます。背景には、人工骨や薬剤に頼り過ぎず、患者さんの体に元々備わっている治癒力を最大限に引き出す治療への関心が高まっていることがあります。
特にインプラント治療や歯周外科では、骨の量や歯ぐきの状態が治療の成否を左右するため、再生を促す手段としてCGFの導入が広がりました。自分の血液から作る素材を使うため、人工材料に対する不安をお持ちの方にも検討しやすい治療法といえます。
参照元:日本再生医療学会(https://www.jsrm.jp/)
血液由来の再生療法にはCGF以外にもいくつかの種類があり、それぞれ作製方法や特徴が異なります。検討時に混同しやすいPRP・PRF・AFGとの違いを整理しておくと、CGF再生療法の位置づけが理解しやすくなります。
PRP(多血小板血漿)は血液から血小板を多く含む血漿を抽出した液体で、再生療法としての歴史は古いものの、凝固促進剤を加えて使うタイプもあります。PRFはフィブリンを含むゲル状の物質で、添加物を加えずに作製できる点が特徴です。
AFGは自己フィブリノーゲンと呼ばれる液状の素材で、CGFと組み合わせて使うこともあります。CGFは添加物を加えずに作製でき、フィブリンを骨格としたゲル状で扱いやすい点が特徴として挙げられます。
CGFは添加物を一切使わず、患者さん自身の血液だけで作製される点が大きな利点です。フィブリンゲルが安定したゲル状を保つため、骨欠損部に充填したり膜状で患部を覆ったりといった応用がしやすく、インプラント治療や歯周外科の補助として扱いやすいことから、導入する歯科医院も見られます。
参照元:日本歯周病学会(https://www.perio.jp/)
CGF再生療法は、インプラント治療のさまざまな場面で活用されます。骨の量が足りない症例での骨造成、上顎奥歯のサイナスリフト、抜歯後の治癒促進など、インプラントの成功率や治癒の質を高める目的で組み合わせられることが多い治療です。
代表的な活用シーンを順に見ていきます。
インプラントを長期にわたり安定させるには、インプラント体と顎骨がしっかり結合するオッセオインテグレーションを得る必要があり、そのためには十分な骨の量が欠かせません。骨が足りない場合に行われるのが、骨補填材や自家骨を用いて骨を増やす骨造成法(GBR)です。
CGFを骨補填材と混ぜて使ったり、再生部位を覆う膜として用いたりすることで、骨の再生がより効率的に進むことが期待できます。
上顎の奥歯部分は、上顎洞という空洞が近接しているため、骨の高さが不足しがちな部位です。サイナスリフトは、上顎洞の粘膜を持ち上げてできた空間に骨補填材を入れ、骨の高さを確保する処置で、ここにもCGFが組み合わせて使われます。
CGFを併用することで、補填した素材と既存骨の結合や治癒の促進が期待できます。
抜歯した部位にCGFを入れることで、出血を抑えながら歯槽骨や歯ぐきの治癒を促す目的でも使われます。将来的にインプラントを予定している部位の骨をなるべく温存したいケースで有用です。
また、歯周病で破壊された歯槽骨や歯ぐきの再生療法でも、CGFは組織の修復を促す素材として活用されています。
参照元:公益社団法人日本口腔インプラント学会(https://www.shika-implant.org/)
CGF再生療法は、採血からフィブリンゲルの作製、外科処置への応用までを通常は同日中に行います。治療の進め方をイメージしやすくするため、カウンセリングから術後経過までを順に確認していきます。
まずカウンセリングと精密検査で、骨や歯ぐきの状態、全身の健康状態を確認し、CGFを併用する治療計画を立てます。当日は外科処置の直前に、腕の静脈からおおよそ7〜30cc程度の採血を行います。
採血量は使用する量や処置の規模によって変わります。一般的な健康診断と同程度の採血なので、身体的な負担は限定的です。
採取した血液は専用の遠心分離機にかけて、約15分ほどで成分を分離します。分離後の中間層に、フィブリンを骨格としてゲル化したCGFが現れます。
これを取り出し、必要に応じて骨補填材と混ぜたり、患部を覆う膜状に成形したりして使用準備を整えます。
作製したCGFは、骨が不足している部位への充填、骨補填材との混合、膜としての被覆など、症例に合わせて使い分けられます。インプラント埋入と同時に行うケースもあれば、骨を増やす処置を先行し、骨の再生を待ってからインプラントを入れる二段階のケースもあります。
術後はメンテナンスや経過観察を通して治癒の進み具合を確認します。
参照元:厚生労働省 再生医療等の安全性の確保等に関する法律(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/saiseiiryou/)
CGF再生療法には、自己血液由来であることに加え、治癒のスピードや術後負担の軽減など、患者さんにとってさまざまな利点があります。代表的なメリットを3つの観点から整理します。
CGFは患者さん本人の血液からのみ作られるため、人工素材を使う場合と比べて、アレルギー反応や感染症のリスクが低減されます。自分の生体組織を自分の身体に戻すという発想で、化学的な添加物を含まないため、人工材料に不安を感じる方にとって安心しやすい治療法といえます。
CGFに含まれる成長因子や血小板は、組織の修復と新生を促す働きを持ち、創傷治癒のスピードを高めます。インプラント手術や骨造成と組み合わせた場合、術後の腫れや痛みが軽減されたり、回復までの期間が短縮されたりすることが期待できます。
仕事や家庭の都合で長期の安静が難しい方にも、ダウンタイムを抑えられる場合がある点はメリットの一つです。
骨補填材だけを使う従来の骨造成では、骨が再生して安定するまでに長い期間が必要で、自家骨を使う場合は骨を採取するための追加手術が必要でした。CGFは血液から作るため、別の部位を切開して骨を採る必要がなく、治療の侵襲を抑えられる場合がある選択肢として位置づけられています。
参照元:日本再生医療学会(https://www.jsrm.jp/)
メリットの多いCGF再生療法ですが、すべての方にとって万能というわけではありません。事前に把握しておきたい注意点とデメリットを、効果・費用・身体的負担の観点から確認します。
CGFの効果は、年齢や体質、全身の健康状態、骨や歯ぐきの状態によって個人差が出ます。CGFを併用すれば必ず短期間で治療が完了するというものではなく、骨が足りない症例では再生に一定の期間を要する点は他の骨造成法と同様です。
事前に主治医とよく相談し、効果の見込みと治療期間の目安を確認しておくことが大切です。
CGF再生療法は健康保険の適用外の自由診療です。インプラント治療と組み合わせる場合、インプラント本体の費用に加えてCGFの処置料が別途必要になります。
費用面の負担はメリットとあわせて検討すべきポイントです。
CGFの作製には数十cc程度の採血が必要です。一般的な健康診断や血液検査と同程度ではありますが、注射が苦手な方や貧血傾向のある方は、事前に主治医へ相談するとよいでしょう。
参照元:日本歯周病学会(https://www.perio.jp/)
CGF再生療法は採血ができる方であれば多くの場合に適応可能ですが、体の状態によっては受けられなかったり、慎重な判断が必要になったりする場合があります。
感染症に罹患している方や、白血病など血液に関わる疾患をお持ちの方は、CGF再生療法を受けられないことがあります。また、糖尿病や高血圧などの全身疾患をお持ちの方、抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)を服用している方は、治療の可否や術前後の管理について主治医や担当歯科医師との連携が欠かせません。
妊娠中の方や免疫機能に不安がある方も、事前のカウンセリングで十分な情報共有を行うことが必要です。最終的な適応の判断は、医師による診査と全身状態の評価をもとに行われます。
参照元:厚生労働省 再生医療等の安全性の確保等に関する法律(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/saiseiiryou/)
CGF再生療法は自由診療のため、医院ごとに費用設定が異なります。一般的な相場感と、インプラント治療と組み合わせた場合のトータル費用の考え方を整理します。
CGF再生療法そのものの費用は、1回あたり10,000円前後を目安とする医院もあれば、処置の規模や材料の併用に応じて30,000〜50,000円程度を設定する医院もあります。インプラント治療と組み合わせる場合は、インプラント本体や上部構造の費用に加えてCGFの処置料が必要となるため、総額のレンジを事前に確認することが重要です。
実際の費用は、骨の状態や処置回数、骨補填材との併用の有無などによって変動するため、カウンセリング時に見積りを取り、何にどれだけ費用がかかるのかを項目別に確認しておくと安心です。
参照元:公益社団法人日本口腔インプラント学会(https://www.shika-implant.org/)
CGF再生療法は、再生医療等の安全性の確保等に関する法律に基づき、厚生労働省への届出が必要な医療行為に該当します。医院選びの際にはこの観点も含めて確認したいポイントを整理します。
医院選びでは、特に以下の3つのポイントを確認しておくと安心です。
これらをカウンセリング時に確認することで、安心して治療を任せられる医院かどうかを判断しやすくなります。
参照元:厚生労働省 再生医療等の安全性の確保等に関する法律(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/saiseiiryou/)
インプラント治療を検討中の方からよく寄せられる、CGF再生療法に関する疑問をまとめました。治療を判断する際の参考にしてください。
骨の量が十分にある方は、CGFを必ず併用しなければならないわけではありません。骨が足りない症例や、抜歯と同時にインプラントを進めたい症例、術後の治癒を早めたい場合などにメリットが大きい治療法です。
併用が必要かどうかは、CT検査などの精密診査を踏まえて主治医が判断します。
CGF単独で治療期間が劇的に短くなるわけではありませんが、骨補填材だけを使う従来の骨造成と比較すると、治癒の促進が期待できるため期間短縮につながる場合があります。骨の状態や処置内容によって差が出るため、具体的な期間の目安は治療計画を立てる段階で確認するのがおすすめです。
1回あたりの採血量は7〜30cc程度で、一般的な血液検査と同程度です。採血時のチクッとした痛みはありますが、その後の処置には基本的に局所麻酔が使われるため、CGF併用そのもので追加の痛みが大きく増えることはほとんどありません。
CGFは外科処置と同時に作製・使用するため、原則として同じ医院でインプラント手術と一体で行います。CGF併用を希望する場合は、現在の主治医に相談するか、対応している医院でセカンドオピニオンを受けることが現実的な選択肢になります。
CGFは治癒や骨再生を後押しする補助的な役割を担いますが、インプラントの成功率は患者さんの全身状態、口腔内環境、術者の技術、術後のメンテナンスなど多くの要因で決まります。CGFは選択肢の1つであり、適応や有効性は症例ごとに判断されます。
参照元:公益社団法人日本口腔インプラント学会(https://www.shika-implant.org/)
CGF再生療法は、患者さん自身の血液から作るフィブリンゲルを用いて、骨や軟組織の再生を促す治療法です。インプラント治療では、骨が足りない症例の骨造成やサイナスリフト、抜歯後の治癒促進など、多くの場面で活用されています。
自己血液由来でアレルギーのリスクが低く、治癒期間の短縮や術後負担の軽減といったメリットがある一方、自由診療で費用負担が生じる点や効果に個人差がある点には留意が必要です。インプラント治療での導入を検討する際は、CGFの適応や費用、医院の届出体制を確認したうえで、納得できる選択肢を選ぶことが大切です。
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